賃貸トラブル相談室報道局(新館)

個別相談・情報提供窓口 ご気軽にどうぞ。 abc0120555@yahoo.co.jp

③ 【貼り紙等】裁判所は保証会社に対して厳しいです。

こんにちは。

いよいよ春本番ですが、前回のブログで書きました「木嶋被告は、やはり死刑」でしたね。

なにせ、最低でも男性3人を殺害し、さらに木嶋被告が、殺害したと思われる男性が、他にも3名いるので、合計6名殺したようです。

 

さてさて、本日は、管理会社や保証会社、大家などが、滞納者に対して「家賃滞納の事実」を周知する行為に付いてです。まあ、大家たちの気持ちを考えると、下記のような貼り紙をしたくなる気持ちは理解できますが、やはり、こうした行為は下品ですし、周りの住人も気分が悪くなり物件のイメージも悪くなりますので、貼り紙はおすすめしません。

 

まあ、この手の貼り紙は、賃借人に対して恥をかかせるのが目的なのでしょうが、どう考えても下品ですね。貼り付けた方の人格が疑われます。

 

ここからは、こうした貼り紙について、裁判所の見解です。

※基本的な考え方

玄関ドアに督促状、解約通知書等の書面を貼り付け、賃借人が家賃を滞納していることや、指定期日までに家賃を支払わない場合には賃貸借契約を解除し家財撤去等を行う旨等を、不特定多数の人が認知できるようにしたり、 家賃の滞納等の事情がある場合であっても、書面の内容、貼付けの方法等の態様を考慮し、他人に知られたくない家賃支払状況等の情報を不特定多数人が知ることができるようにし「プライバシーや名誉を毀損」するとともに、「賃借人の平穏な生活を侵害」する等として、不法行為と判断する。

 

・裁判事例

①4か月滞納があり、保証会社が代位弁済した後賃借人が支払って求償権に充当された。
(貼り紙時は未払賃料はなかった。)○保証会社が、退去勧告書(A4一枚紙、「家賃滞納
があり、催告に応じようとせず、契約上の重大な過失、違反があるのにこれを改めようとしないから、賃貸借契約を解除するので、直ちに退去することを求める」旨)と催告書(A4一枚紙、「指定期日までに滞納家賃の入金をしないときは、建物の使用禁止措置を講じるとともに、あらゆる強制手段を行使して家賃を回収することになるが、その際は一切の交渉に応じないことを予め警告する」旨)を扉のノブの左端をまたいで、扉と扉の枠の両方にかかるように周囲全体に強力な両面テープで、一寸の隙もなく貼り付けた。

 

・判決

滞納家賃がないにも関わらず、本件文書を貼付したことは、本建物から強制的に退去させようとしているものと入居者が受け取ってもやむを得ないものであり、そのことにより心理的圧迫を受け、日々不安な生活を送らざるを得ないことは明らかである。したがって、人格的利益を違法に侵害されたものというべきであり、不法行為責任を負う。文書の玄関への貼付の方法によらなくても、文書を封筒等に入れて郵便受けに投函したり、電話によって話をすることも可能であるのに、そのような方法をとったことがうかがえないうえ、求償債務が履行されている事実を誤解したまま貼付したことを考慮すれば、行為の違法性が阻却されたり、減少するものではない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

②滞納を繰り返し、電話連絡したが支払いがなかったため、保証会社が、住戸の一時使用禁止措置の決定通知書が在中するオレンジ色の封筒を、その表側(「家賃未払による明渡実行予告」と記載)が見える形で、玄関に貼り付けた。

 

・判決

封筒の表示は、入居者の社会的評価を低下させる事柄と認識させる内容であることが明らかであり、同内容を不特定又は多数人の認知しうる状況に置いたことも明らかであり、名誉棄損行為に該当する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

③1か月滞納があり、保証会社が、「督促状」「催告状」との表題が付されたA4サイズの書面を下から3分の1程度折り上げ、表題だけが見えるようにして玄関ドアに貼り付けた。

 

・判決

債権の取立て行為の態様が、債務者の名誉を毀損したり、脅迫を伴うものであるなど、社会通念上相当とされる限度を超える場合には、有効な債権の取立て行為であっても不法行為を構成する場合がある。書面を玄関ドアに貼り付けることは、他人に知られることを欲しないことが明らかな家賃等の支払状況というプライバシーに関する情報を不特定の人が知り得べき状況に置き、もって名誉を毀損するものであるというべきであって、社会通念上相当とされる限度を超える違法な取立行為というべきである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

④2か月程前から家賃の支払いに窮するようになっており、保証会社が、玄関ドアに督促状(20センチ四方ほど)を貼付け。翌月、賃貸人が、保証会社の指示により、玄関ドアに解約通知書(A4サイズ)を貼付け。「賃貸借契約を解除する」旨の意思を表示するとともに、「指定の明渡期日までに連絡がない場合には、家賃債務保証会社において物件内の残置物件を撤去し、その保管や処分に要した費用を請求する」旨を通告。

 

・判決

一般に、債務者が任意に義務を履行しないため、債権者が当該債務者に対して義務の履行を催促する場合であっても、その態様が、社会通念上相当な限度を超えて、当該債務者や親族、関係者等の生活の平穏を害し、又はプライバシーや名誉を侵害するときには、当該行為には違法性が認められ、不法行為が成立する。日常の平穏を著しく害し、あるいは、賃借人の通常の意思に反して名誉及びプライバシーに属する事項を公開するという方法で、滞納賃料の支払に応じるよう心理的に圧力をかけるものと言うことができ、社会通念上、相当な限度を超えるものと評価する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⑤滞納しがちで、2か月滞納があり、保証会社が、月に4回にわたり玄関ドアに「家賃債務保証会社に連絡をしなければ、賃貸借契約を解除する」という内容の通知書を貼付けた。A4サイズ、ゴシック体で大きい文字。うち3回はビニール状のテープを使用。○同月に、玄関ドアに退去勧告(契約解除通知)書を貼り付けた。内容は「賃料等を長期滞納している」「滞納家
賃等の全額支払がない場合には、鍵を交換して施錠する。賃貸借契約を解除する」「契約解除後の残置物は、賃借人の費用負担で処分する」。A4サイズ、ゴシック体で大きい文字、ビニール状のテープを使用。同月に、2回にわたり玄関ドアに「連絡を無視しているので、残置された動産は搬出する」という内容の書面を貼り付けた。A4サイズ、ゴシック体で大きい文字。うち1回はビニール状のテープを使用。

 

・判決

書面の内容、貼付した回数、貼付がなされた期間、書面のサイズや文字の大きさ、ビニール状のテープを使用するという貼付の方法を考慮すると、2、3メートル程度離れた位置からでも判読が可能であり、書面を見た者に、賃借人が賃料を滞納しているとか、賃借人が行方不明になったとか、何らかの近隣トラブルになったとかの印象を与えることになることから、その名誉を毀損。書面の内容、貼付の回数、貼付の方法からみると、賃貸借契約が直ぐにも解除され、建物内の所有の動産等を処分されてしまうのではとの危惧を賃借人に生じさせ、賃借人の平穏に生活する権利・利益が侵害された。滞納賃料を支払ってもらう権利があること、支払いの約束をしたのに順守しないこと、連絡がとれなくなったこと等の事情を考慮しても、不法行為を構成する。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日は、主だった判例を書きましたが、いずれも保証会社や大家が負けています。でも家賃滞納は悪いことなのに、なぜ、保証会社などが負けてしまうのでしょう?

 

つまり、債権者は滞納者を訴える権利を有しながら、それを行使せずに、法的手続きを取らずに、自力救済をする事は一切認めないという事です。私も家賃滞納を是とする訳ではありませんが、法律はお互いに守りましょう。

 

次回は「執拗な督促(深夜早朝時間帯の督促等)」について書く予定です。

 

、個別相談窓口
下記のアドレスで受付けておりますので、ご気軽にどうぞ。

abc0120555@yahoo.co.jp

携帯電話から、相談メールを送信される方は、PCからのメールを受信出来るように、設定して下さい。また、abc0120555@yahoo.co.jpから返信いたしますので、迷惑メールで受信拒否にならないように、セーフリストに入れて下さい。

 
 
AD